自動車保険の等級とは?仕組みをFPが解説【2026年8月】

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「自動車保険の見積もりを取ったら、去年と等級が違っていた」「等級が下がると聞いたけれど、何がどう変わるのか分からない」——自動車保険を比較する方から、こうした声をよくお聞きします。

結論からお伝えすると、自動車保険には「等級」という仕組みがあり、これは無事故の年数に応じて保険料の割引率が変わる制度です。1〜20等級の範囲で、事故を起こさなければ等級が上がって保険料は下がる方向に働き、事故を起こして保険を使うと等級が下がって保険料は上がる方向に働きます。仕組みを知らないまま「保険料が上がった・下がった」だけを見ていると、比較や乗り換えの判断を誤りやすくなります。この記事では、等級の仕組みと、比較・見積もり時に確認しておきたいポイントを整理します。

まず知っておきたい「自賠責保険」と「任意保険」の違い

自動車保険は、大きく分けて2種類あります。

  • 自賠責保険(強制保険):車検のある自動車・バイクすべてに加入が義務づけられている保険です。事故で相手(他人)をケガさせたり死亡させたりした場合の補償に限られ、自分のケガや車、相手の車・物への補償は対象外です。支払額には国土交通省が定める全国一律の基準があります。
  • 任意保険:加入するかどうかを自分で選べる保険です。自賠責保険では補償されない「自分のケガ」「相手の車や物」「自分の車」なども補償の対象にできます。今回取り上げる「等級」は、この任意保険(主に対人賠償・対物賠償・車両保険など)にかかわる仕組みです。

つまり、自賠責保険は事故の被害者を守るための最低限の土台であり、任意保険はそれだけではカバーしきれない部分を自分で選んで上乗せする保険、という関係になります。

等級とは?ノンフリート等級別料率制度の仕組み

個人が契約する自動車保険(9台以下の契約)には、「ノンフリート等級別料率制度」という共通のルールが使われています。契約者ごとの事故歴に応じて保険料の割増引率を決め、契約者間の負担を公平にするための制度です。

項目 内容
等級の範囲 1等級〜20等級。多くの場合、新規契約は6等級からスタートする
無事故の場合 1年間保険を使う事故がなければ、翌年の契約で等級が1つ上がる(保険料が下がる方向に働く)
事故を起こした場合 事故の内容に応じて「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故(等級が変わらない事故)」に区分される
事故有係数 同じ等級でも、直近の事故歴によって「無事故」と「事故有」の2種類の割増引率が存在し、事故有のほうが割引率は小さくなる(=保険料は高くなる方向)
事故有係数の適用期間 事故の種類によって1年〜3年(上限6年)。1年経過するごとに1年ずつ短くなっていく

出典:東京海上日動火災保険・アクサ損害保険・イーデザイン損保など損害保険各社の等級制度解説ページ(2026年8月時点で各社共通のノンフリート等級別料率制度の仕組みとして案内されている内容)。

保険料の具体的な金額は、等級だけでなく年齢・車種・利用目的・走行距離・補償内容などによって大きく変わるため、この記事では書いていません。実際の金額は、各社の見積もりで確認する形になります。

事故を起こすと何が変わるのか

事故を起こして保険を使うと、翌年の等級が下がるだけでなく、「事故有係数」が適用される期間も同時にスタートします。この期間中は、たとえ翌年以降無事故が続いて等級自体は上がっていっても、同じ等級の「無事故」契約者より割引率が小さい状態が続きます。

つまり、1回の事故で保険料が上がる影響は、その年だけでなく数年単位で続く可能性がある、というのがこの制度の特徴です。小さな修理費用であれば、保険を使わずに自己負担で直したほうが、翌年以降の保険料への影響を考えると総額で見て有利になるケースもあります。事故直後に保険を使うかどうかを判断する際は、この点も踏まえて検討するとよいでしょう。

等級は引き継げる場合がある

一般的に、等級は契約者本人だけでなく、同居する家族などへの契約の引き継ぎ(等級承継)が可能な場合があります。また、車を手放して一時的に自動車保険を使わない期間ができる場合も、一定の条件のもとで等級を保存できる仕組み(中断証明書など)が用意されていることがあります。

引き継ぎの条件(同居の範囲、手続きの期限、必要書類など)は保険会社によって異なります。「実家の車を譲り受けた」「一時的に車を手放す」といった場面では、等級がリセットされてしまわないよう、契約している(していた)保険会社に早めに確認することをおすすめします。

保険料を比較する際に見ておきたいポイント

自動車保険を比較・乗り換えする際は、等級だけを見るのではなく、次のような点もあわせて確認すると判断材料が整理しやすくなります。

  • 現在の等級と事故有係数の有無(見積もり時に必要になります)
  • 補償内容(対人・対物・車両保険・弁護士費用特約など)が今の契約と同等かどうか
  • 免責金額(自己負担額)の設定
  • 走行距離・使用目的などの契約条件が実態と合っているか
  • 各社の割引条件(インターネット割引、ゴールド免許割引など)

保険料が安く見えても、補償内容や免責金額が異なっていると単純比較はできません。等級が同じでも、条件をそろえたうえで見積もりを比較することが大切です。

医療保険や生命保険と同様、自動車保険も「安さ」だけでなく、自分の使い方や車の状況に合っているかどうかで判断材料が変わります。公的保障との関係を含めた保険全体の考え方は、医療保険はいらない?公的保障と考え方自営業と会社員|保険の必要性の違いをFPが解説でも整理していますので、あわせてご覧ください。

なお、保険料の見直しで家計に余裕ができた場合の運用先として、NISAのデメリットとは?始める前の注意点もあわせて確認しておくと、保険と資産形成をセットで考えやすくなります。

よくある質問

Q. 等級はどこで確認できますか?
A. 契約している保険会社から届く保険証券や、更新時の案内書類に記載されています。不明な場合は契約している保険会社に問い合わせて確認できます。

Q. 免許取り立てでも高い等級から始められますか?
A. 通常、新規契約は6等級からのスタートになります。ただし家族の等級を引き継げる場合があるため、同居する家族がすでに契約している場合は、引き継ぎができないか保険会社に確認する価値があります。

Q. ノーカウント事故とは何ですか?
A. 等級に影響しない事故区分のことです。具体的にどの事故がノーカウントに該当するかは保険会社・契約内容によって定義が異なるため、個別のケースは契約先の保険会社に確認することをおすすめします。

Q. 事故を起こしたら保険を使うべきですか?
A. 損害の大きさと、事故有係数適用期間中の保険料への影響を比較して判断する必要があります。少額の損害であれば保険を使わず自己負担にしたほうが、数年単位で見て有利になる場合もあります。

Q. 等級が高ければどの保険会社でも同じ割引率になりますか?
A. 等級と事故有係数の考え方は業界共通の制度ですが、具体的な割引率や保険料への反映のしかたは保険会社ごとに異なります。乗り換えを検討する際は、同じ等級・条件で複数社の見積もりを比較することをおすすめします。

ミナト先生のまとめ

自動車保険の等級は、「無事故を続けるほど保険料が下がる方向に働き、事故を起こすと数年単位で保険料が上がる方向に働く」という、長い目で見た仕組みです。目先の保険料の安さだけでなく、今の等級・事故有係数の状況、補償内容、免責金額をそろえたうえで比較することが、納得できる選び方につながります。家計相談の場でも、「等級が下がっていることに気づかないまま契約を更新していた」というケースを見かけることがあります。更新のタイミングで一度、現在の等級と契約内容を確認してみることをおすすめします。

保険の必要性は世帯ごとに異なります。加入・見直しの判断は、必要に応じて専門家にご相談ください。

制度は改正される場合があります。最新の内容は国土交通省・各損害保険会社の公式情報でご確認ください。


この記事を書いた人:ミナト先生/FP2級・元携帯キャリア営業(約1万契約)。通信費と家計の"損しない"見直しを発信しています。

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