NISAで保有している商品を売却すると、非課税で投資できる枠はどうなるのでしょうか。結論から言うと、生涯非課税保有限度額(1,800万円)のうち、売却した分の枠(簿価ベース)は翌年以降に復活し、再び非課税で投資に使えるようになります(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト、2026年7月時点)。ただし、年間の投資枠自体が広がるわけではない点には注意が必要です。この記事では、枠が復活する仕組みと、再利用する際に気をつけたいポイントを、FPのミナト先生が整理します。
NISAの制度枠|まずは全体像を確認
枠の復活を理解する前に、現行NISAの基本的な数字を確認しておきます(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト、2026年7月時点)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 年間120万円まで |
| 成長投資枠 | 年間240万円まで |
| 年間投資枠の合計 | 360万円まで |
| 非課税保有限度額(生涯) | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 口座開設期間 | 恒久化 |
| 売却枠の再利用 | 売却した分の枠は翌年以降に再利用できる |
| 対象年齢 | 18歳以上 |
この表のうち「売却枠の再利用」が、今回のテーマです。
売却すると枠はどう動くのか
NISAには2種類の枠があり、それぞれ復活のルールが異なります。
年間投資枠(360万円)は復活しない
その年に使った年間投資枠は、同じ年のうちに売却しても広がりません。たとえば今年、成長投資枠で100万円分を買い付けたあとに売却しても、今年中に使える成長投資枠が240万円に戻ることはない、という理解で問題ありません。
生涯非課税保有限度額(1,800万円)は翌年以降に復活する
一方で、生涯の非課税保有限度額は「今、保有している商品の簿価(取得価額)の合計」で管理されています。保有商品を売却すると、その簿価分だけ生涯枠の使用済み残高が減り、翌年以降に、その分を再び非課税投資に使えるようになります。
ポイントは2つです。
- 復活するのは「売却した年の翌年以降」であり、売却した当日や当年中にすぐ買い直せる枠として戻るわけではありません。
- 復活する金額は「売却時の時価」ではなく「取得したときの簿価」を基準に計算されます。値上がりした商品を売却した場合、時価より少ない枠しか復活しない、というケースもあり得ます。
注意点・元本割れリスク
NISAで買い付ける投資信託や株式は値動きのある商品です。購入時より基準価額や株価が下がり、元本割れする可能性があります。 枠の復活を当てにして売買を繰り返す前に、この点は理解しておく必要があります。
そのほか、実務上つまずきやすい注意点を挙げます。
- 生涯枠が復活していても、その年に買い付けられるのは年間投資枠(360万円)の範囲内です。生涯枠に余裕があっても、年間枠を使い切っていればその年の追加購入はできません。
- 復活した枠を使うタイミングは自分で管理する必要があります。証券会社の管理画面で、非課税枠の使用状況・復活予定を定期的に確認する習慣をつけましょう。
- 短期間で売買を繰り返す使い方は、NISAが本来想定している「長期・積立・分散」の考え方とは異なります。手数料や値動きのタイミングによっては、かえって非効率になることもあります。
向いている人・向いていない人
向いている人
- 教育資金や住宅資金など、ライフイベントに合わせて一部を売却する可能性がある人
- 生涯非課税保有限度額(1,800万円)を長い期間かけて有効に使いたい人
向いていない人
- 短期売買を前提に、頻繁に枠を使い切っては復活を待つような運用をしたい人(枠の管理が煩雑になりやすく、NISAの制度趣旨とも合いにくい方向けです)
- そもそもまだNISA口座を開設していない人(先に制度の全体像を確認したい方は、NISAの始め方をFPが解説 もあわせてご覧ください)
枠の再利用を考えるときの進め方
- 証券会社の口座管理画面で、現在の非課税保有残高(簿価ベース)と、今年の年間投資枠の使用状況を確認する
- 売却を検討している商品の取得価額(簿価)を確認し、翌年以降にどれくらいの枠が復活する見込みかを把握する
- 復活した枠をいつ・何に使うか、年間投資枠の上限(360万円)を踏まえて計画を立てる
- 新NISAのデメリットや注意点も踏まえたうえで、売却・再投資の判断をする(NISAのデメリットをFPが解説、つみたて投資枠と成長投資枠の違いをFPが解説)
よくある質問
Q. 売却したら、その日のうちに同じ枠でまた買えますか?
A. いいえ。生涯非課税保有限度額の枠は、売却した年の翌年以降に復活します。同じ年のうちにすぐ買い直せる枠として戻るわけではありません。
Q. 復活する枠の金額は、売ったときの時価で決まりますか?
A. いいえ。復活する金額は、購入したときの簿価(取得価額)を基準に計算されます。時価とは一致しないことがあります。
Q. 年間投資枠も売却すれば広がりますか?
A. 広がりません。年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)は、その年の買い付け実績で管理されており、売却しても当年中に枠が広がることはありません。
Q. iDeCoにも同じような枠の復活はありますか?
A. iDeCoは掛金の拠出限度額が決まっている年金制度で、NISAのような「売却による枠の復活」という仕組みはありません。制度の違いについては、iDeCoとは?仕組みとメリットをFPが解説 で整理しています。
ミナト先生のまとめ
家計相談を受けていると、「NISAで売ったお金の枠はどうなるのか分からず、なんとなく売却をためらっている」という声を聞くことがあります。仕組みを知っておけば、ライフイベントに合わせて資金を引き出す判断もしやすくなります。ただし、枠の復活はあくまで翌年以降の話であり、投資している商品自体は値動きのある商品であることに変わりはありません。制度は改正される場合があります。最新の内容は金融庁などの公式情報でご確認ください。
投資判断はご自身の責任で行ってください。個別の状況に応じたご相談は、必要に応じて専門家にご確認ください。
この記事を書いた人:ミナト先生/FP2級・元携帯キャリア営業(約1万契約)。通信費と家計の"損しない"見直しを発信しています。


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