自動車保険の等級としくみをFPが解説【2026年8月】

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「今年は事故がなかったから、来年の自動車保険料は安くなるはず」——そんな話を聞いたことがある方は多いと思います。一方で「等級ってそもそも何を数えているの?」「事故を起こすとどのくらい上がるの?」という部分は、意外と正確に説明できる方が少ないテーマです。

この記事では、自動車保険の保険料に直結する「等級(ノンフリート等級別料率制度)」の仕組みを、FPの立場から整理します。特定の保険会社を比較して優劣をつけるものではなく、契約を続けるか・乗り換えるか・事故を保険で処理するかを判断するときの「考え方の土台」として読んでいただければと思います。

結論:等級は「事故を起こさなかった年数」を反映する仕組み

自動車保険の等級制度は、1等級から20等級までの20段階で、契約者ごとの事故歴に応じて保険料の割引・割増を決める仕組みです。新規契約は原則6等級からスタートし、1年間無事故で過ごすと翌年度に1等級上がります。等級が上がるほど割引率は大きくなり、逆に事故で保険を使うと等級が下がって保険料が上がります。

つまり「今の等級がいくつか」「これから事故を保険で処理すると等級がどう動くか」を理解しておくことが、保険料を長期的にコントロールするための一つの軸になります。個別の保険会社のどこが得かという話ではなく、まず制度そのものを知ることが出発点です。

等級制度の仕組み(ノンフリート等級別料率制度)

この制度は損害保険料率算出機構が定める「自動車保険参考純率」に基づいており、各損害保険会社が共通の考え方で運用しています。

項目 内容
等級の範囲 1等級〜20等級(20段階)
新規契約の開始等級 原則6等級(セカンドカー割引適用時は7等級)
等級が上がる条件 1年間、事故で保険を使わずに満期を迎えると翌年度に1等級アップ
20等級への到達 新規契約から無事故を続けた場合、最短でも14年程度(セカンドカー割引適用で13年程度)
割引・割増 等級が高いほど割引率が大きく、1〜4等級は割増(保険料が高くなる)区分
事故有係数適用期間 等級が同じでも「事故あり」の契約者は「事故なし」の契約者より一定期間、割引率が低い区分が適用される

出典:損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率」の考え方に基づく一般的な仕組み(2026年8月時点)。具体的な割引率・保険料は保険会社ごとに設定が異なるため、この記事では金額を記載していません。

事故を起こすと等級はどう動くか

事故で保険を使った場合、事故の内容によって等級の下がり方が変わります。大きく分けると次の3区分です。

  • 3等級ダウン事故:相手への賠償や自分の車の修理などで保険を使った、一般的な事故。翌年度に等級が3つ下がり、事故有係数適用期間が3年間つく
  • 1等級ダウン事故:盗難・落書き・台風や洪水などによる被害など、限定的なケース。翌年度に等級が1つ下がり、事故有係数適用期間が1年間つく
  • ノーカウント事故:人身傷害保険や弁護士費用特約など、一部の特約のみを使った場合。等級は下がらない

事故有係数適用期間は、無事故の年が1年増えるごとに1年ずつ短くなっていきます。ここで重要なのは、「保険を使う=等級が下がって、その後数年間は割引率が下がった状態が続く」という点です。修理費が小さい事故の場合、保険を使わずに自己負担で直したほうが、その後の保険料上昇分を含めると総額で見て有利になることがあります。使う・使わないの判断は、修理費の見積もりと将来の保険料上昇分を比べて考えるのが基本です。

保険会社を比較するときに見ておきたい観点

等級と保険料の関係を理解したうえで、保険会社や商品を比較する際に等級以外で確認しておきたい観点を整理します。特定の会社を推奨するものではなく、比較の軸として参考にしてください。

  • 等級の引き継ぎ:保険会社を乗り換える場合、現在の等級は基本的に引き継げます。ただし解約から一定期間が空くと等級が下がることがあるため、乗り換えのタイミングには注意が必要です
  • ロードサービスの範囲:レッカー移動距離やレンタカー代の有無など、事故・故障時のサポート範囲は会社によって差があります
  • 示談交渉サービスの有無:相手がいる事故で、示談交渉を保険会社が代行してくれるかどうかは重要な確認ポイントです
  • 年齢条件・運転者限定の設定:家族構成や運転する人の年齢によって、保険料が大きく変わる設定項目です
  • 特約の内容:弁護士費用特約、人身傷害保険の補償範囲など、事故時に等級を下げずに使える特約がどこまであるかも比較材料になります

保険料そのものは、等級・年齢・車種・使用目的・走行距離など複数の条件で個別に決まるため、この記事では具体的な金額を記載していません。見積もりを取って、条件をそろえたうえで比較することをおすすめします。

注意点・向いていない場合

  • 等級は保険会社を乗り換えても引き継げますが、契約状況によって扱いが異なる場合があるため、乗り換え前に現在の保険会社と乗り換え先の両方に確認したほうが安全です(保険の見直しタイミング全般については、保険を解約するタイミングの見極め方も参考になります)
  • 「等級が高い=その保険会社が優れている」という意味ではありません。等級はあくまで契約者自身の事故歴を表す数字です
  • 見積もり比較サービスを使う場合、比較できる会社の範囲がサービスによって異なります。何社と比較しているかを確認したうえで利用してください
  • 自動車保険以外にも、共済という選択肢があります。仕組みの違いは共済と保険の違いとは?FPが解説で整理しています

よくある質問

Q. ゴールド免許になれば等級も上がりますか?
A. ゴールド免許割引と等級は別の制度です。ゴールド免許割引は運転免許証の色による割引で、等級は事故歴による割引・割増の区分です。両方が同時に適用されることもあります。

Q. 保険を使うかどうか迷ったらどうすればいいですか?
A. 修理費の見積額と、事故有係数適用期間中に増える保険料の見込み額を比較して判断するのが基本です。金額が近い場合は、保険会社の窓口や見積もりサービスで確認しながら決めるのも一つの方法です。

Q. 家族の車に乗り換えたら等級はどうなりますか?
A. 同居の家族間であれば、一定の条件のもとで等級を引き継げる場合があります。詳細は契約中の保険会社に確認が必要です。

Q. 車を手放して数年後にまた乗るとき、等級はどうなりますか?
A. 中断証明書を発行しておくと、一定期間内であれば等級を保存し、再開時に引き継げる制度があります。手放す前に保険会社に確認しておくと安心です。

ミナト先生のまとめ

自動車保険の等級は、「事故を起こさなかった年数」を表す仕組みだと考えると分かりやすいです。相談を受けていても、「等級が下がるのが嫌で、小さな事故でも保険を使わなかった」という声と、「使わずに後悔した」という声の両方を聞きます。どちらが正解ということではなく、修理費の見積もりと保険料の変動を並べて比較する習慣を持つことが、家計を守るうえで役に立ちます。

保険会社を比較する際は、等級の引き継ぎ条件やロードサービス・示談交渉サービスの範囲など、金額以外の項目も含めて確認することをおすすめします。

保険料の見直しは、NISAなどの資産形成とあわせて家計全体を点検するきっかけにもなります。あわせてNISAの非課税枠はいくらまで?FPが解説もご覧ください。

保険の必要性は世帯ごとに異なります。加入・見直しの判断は、必要に応じて専門家にご相談ください。

この記事を書いた人:ミナト先生/FP2級・元携帯キャリア営業(約1万契約)。通信費と家計の"損しない"見直しを発信しています。

※制度は改正される場合があります。最新の内容は損害保険料率算出機構や各損害保険会社の公式情報でご確認ください。

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