iDeCoとは?仕組みと掛金をFPが解説【2026年8月】

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「NISAは聞いたことがあるけれど、iDeCoはよくわからない」という方は少なくありません。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、老後資金づくりを目的とした私的年金制度で、NISAとは仕組みも税制優遇の形も異なります。この記事では、iDeCoの基本的な仕組みと掛金の上限、注意点をFP2級のミナト先生が解説します。

結論:iDeCoは「老後資金専用」の税制優遇制度

iDeCoは、自分で掛金を拠出し、自分で選んだ運用商品(投資信託や定期預金など)で運用し、原則60歳以降に受け取る制度です。掛金が全額所得控除の対象になる、運用益が非課税になるといった税制優遇がある一方で、原則として60歳になるまで引き出せません。また、投資信託などの値動きのある商品で運用した場合は、拠出した金額を下回る(元本割れ)可能性があります。この点はNISAと同様、あらかじめ理解しておく必要があります。

iDeCoの掛金上限(2026年7月時点・出典:厚生労働省・国民年金基金連合会)

区分 掛金の上限(月額)
第1号被保険者(自営業者など) 68,000円(国民年金基金・付加保険料と合算)
第2号被保険者(会社員・企業年金なし) 23,000円
第2号被保険者(企業型DC・DBに加入) 20,000円(55,000円 −(企業型DC事業主掛金+DB掛金相当額)で計算し、上限20,000円)
第3号被保険者(専業主婦・主夫) 23,000円

制度改正の予定(厚生労働省・国民年金基金連合会の公表による)
拠出限度額の引き上げが予定されています。第1号被保険者は68,000円→75,000円、第2号被保険者は企業年金との合算で62,000円へ引き上げられる見込みで、2026年12月拠出分(2027年1月引落分)からの適用が予定されています。また、加入可能年齢の上限を70歳未満へ引き上げる改正も予定されています。いずれも「予定」であり、正式な施行時期や詳細は厚生労働省・国民年金基金連合会の最新の公表内容でご確認ください。

iDeCoの仕組み

iDeCoは、次の3つのステップで成り立っています。

  1. 掛金を拠出する:会社員は給与天引きまたは口座振替、自営業者は口座振替で、毎月一定額を拠出します。掛金は1,000円単位で自由に設定でき、金融機関によっては月々5,000円から始められます。
  2. 自分で運用商品を選ぶ:定期預金・保険商品といった元本確保型と、投資信託のような値動きのある商品の中から、自分で配分を選びます。投資信託を選んだ場合、運用状況によっては元本割れの可能性があります。
  3. 原則60歳以降に受け取る:受け取り方には「一時金」「年金」「一時金と年金の併給」があり、税制上の扱いが異なります。受け取り方によって税金の計算方法が変わるため、具体的な金額のシミュレーションは金融機関や国税庁の情報で個別に確認することをおすすめします。

税制優遇は主に3段階です。①掛金の全額が所得控除の対象になる、②運用益が非課税になる(通常、上場株式や投資信託の運用益には20.315%〈所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%、出典:国税庁〉が課税されます)、③受け取り時にも一定の控除(退職所得控除や公的年金等控除)が適用されます。

iDeCoとNISAの違い(出典:金融庁・厚生労働省)

項目 iDeCo NISA
目的 老後資金づくり専用 幅広い資産形成
年間の投資枠 上記の掛金上限に準ずる つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=合計360万円
運用益への課税 非課税 非課税
掛金・投資額の所得控除 あり(掛金全額) なし
受け取り・引き出し 原則60歳以降まで不可 いつでも可能

iDeCoとNISAは併用できます。「老後資金は動かせなくてもよいのでiDeCo、いつでも引き出せる形でも運用したいのでNISA」という考え方で使い分けている方もいます。

注意点・元本割れリスク

  • 原則60歳まで引き出せません。 教育資金や住宅資金など、途中で使う可能性があるお金をiDeCoに回すのは慎重に考える必要があります。
  • 投資信託で運用した場合、元本割れの可能性があります。 iDeCoは、税制優遇を受けながら自分で運用商品を選ぶ制度であり、将来受け取れる金額は運用商品の選び方や運用状況によって変わります。
  • 口座管理手数料がかかります。 金融機関によって手数料は異なるため、契約前に各社の公式サイトで確認してください。
  • 家計のご相談を受けていると、「iDeCoに入れば安心」というイメージだけで加入し、掛金の設定額に無理が出てしまっているケースを見かけることがあります。毎月の掛金は、生活防衛資金(当面の生活費)を確保したうえで、無理のない範囲で設定することが大切です。

向いている人・向いていない人

向いている人

  • 老後資金を計画的に準備したい方
  • 所得税・住民税の負担を掛金の所得控除で抑えたい方
  • 60歳まで引き出さなくても生活に支障がない方

向いていない人

  • 数年以内に使う可能性のある資金を準備している方(教育資金・住宅資金など)
  • 生活防衛資金がまだ確保できていない方
  • 元本割れの可能性がある商品での運用に不安がある方(この場合は元本確保型の商品を選ぶ、またはNISAでの少額運用から検討する方法もあります)

始め方の手順

  1. ご自身の加入区分(第1号・第2号・第3号)と掛金の上限を確認する
  2. 運営管理機関(金融機関)を比較して選ぶ(手数料や取扱商品のラインナップは金融機関によって異なります)
  3. 加入申出書を提出する(会社員の場合は勤務先の証明書類が必要です)
  4. 掛金額と運用商品を設定する
  5. 口座開設後、毎月の掛金拠出と運用がスタートする

申込みから口座開設までは一定の期間がかかることが一般的です。余裕を持って手続きを進めることをおすすめします。

よくある質問

Q1. iDeCoは途中で解約できますか?

原則として60歳になるまで引き出すことはできません。掛金の拠出を一時的に停止する「加入者資格の喪失」手続きは可能ですが、それまでに積み立てた資産は原則60歳まで引き出せません。

Q2. 掛金は途中で変更できますか?

年に1回、掛金額を変更できます。生活状況の変化に合わせて見直すことができます。

Q3. iDeCoとNISA、どちらから始めるべきですか?

どちらが向いているかは、資金の使い道や引き出しの必要性によって異なります。「60歳まで引き出さなくてよい老後資金」であればiDeCo、「必要になったら引き出したい資金」であればNISAが選択肢になります。両方を少額ずつ併用する考え方もあります。

Q4. 会社員でも加入できますか?

加入できます。ただし、企業型DCやDBに加入している場合は、掛金の上限が変わります。勤務先の制度を確認したうえで申し込むことをおすすめします。

Q5. 運用商品は後から変更できますか?

「スイッチング」という手続きで、積み立てた資産の運用商品を入れ替えることができます。また、毎月の掛金の配分(配分変更)も後から見直せます。

ミナト先生のまとめ

iDeCoは、掛金の所得控除・運用益の非課税・受け取り時の控除という3段階の税制優遇がある一方で、原則60歳まで引き出せないという制約があります。「税制優遇があるから」という理由だけで掛金を無理な金額に設定するのではなく、生活防衛資金を確保したうえで、無理のない範囲から始めることをおすすめします。制度は改正が予定されている部分もあるため、加入前には厚生労働省・国民年金基金連合会・iDeCo公式サイトなど、公的な情報源で最新の内容をご確認ください。

この記事を書いた人:ミナト先生/FP2級・元携帯キャリア営業(約1万契約)。通信費と家計の"損しない"見直しを発信しています。

投資判断はご自身の責任で行ってください。個別の状況に応じたご相談は、必要に応じて専門家にご確認ください。制度は改正される場合があります。最新の内容は金融庁・国税庁・厚生労働省などの公式情報でご確認ください。


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