医療保険はいらない?公的保障との違い【2026年7月】

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「医療保険はいらない」という意見をSNSやネットで見かけて、自分の場合はどうなのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、医療保険が必要かどうかは、貯蓄額・家族構成・働き方(会社員か自営業か)によって変わります。「入るべき」「いらない」のどちらか一方が万人にとって正解、ということはありません。この記事では、まず日本の公的保障がどこまでカバーしてくれるのかを整理し、そのうえで民間の医療保険を検討する際に見るべきポイントをお伝えします。

まず公的保障を知る

医療保険の要否を考える前に、まず日本にはどんな公的保障があるのかを押さえておきましょう。会社員でも自営業でも、病気やケガをしたときに使える公的な制度がいくつかあります。

制度 内容 出典
高額療養費制度 1か月(月単位)の医療費の自己負担が、所得区分ごとの上限を超えた場合、超過分が払い戻される。年収約370〜770万円の区分ウの場合、2026年7月診療分までは「80,100円+(総医療費−267,000円)×1%」。2026年8月診療分からは「85,800円+(総医療費−267,000円)×1%」に引き上げられ、あわせて年間上限(区分ウで53万円)が新設される予定です(直近12か月に3回以上上限に達した場合の4回目以降=多数回該当は44,400円で据え置き) 厚生労働省
傷病手当金 健康保険の被保険者が、業務外の病気やケガで働けなくなった場合に、標準報酬日額のおおむね3分の2が、支給開始日から通算して1年6か月支給される。国民健康保険(自営業者など)には原則としてこの制度がありません 全国健康保険協会
遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金) 加入者が亡くなった場合に遺族へ支給される。支給額は年度改定や報酬比例で個別に異なるため、具体的な金額は日本年金機構の最新情報で確認する必要がある 日本年金機構

高額療養費制度の「区分ウ以外」の具体的な上限額や、2027年8月に予定されている第2段階の改正内容(所得区分の細分化など)は、本記事作成時点では確定情報として提示できる数値がないため、記載を見送っています。厚生労働省の公表資料でご確認ください。

公的保障で足りない部分はどこか

高額療養費制度があるからといって、入院・治療にかかる費用がすべてカバーされるわけではありません。この制度の対象になるのは、あくまで保険診療の総医療費です。次のような費用は対象外になります。

  • 差額ベッド代(希望して個室などに入院した場合の費用)
  • 先進医療にかかる技術料(保険診療と併用できても、技術料そのものは全額自己負担)
  • 入院中の食事代の一部負担や、日用品などの雑費
  • 働けない間の収入減(傷病手当金でカバーされない部分、特に自営業者の場合)

また、高額療養費制度は月単位で自己負担の上限を判定するため、入院や治療が月をまたぐと、1か月で区切った場合より自己負担の合計が増えることがある点にも注意が必要です。

こうした「公的保障の対象外になる部分」を、自分の貯蓄でまかなえるかどうかが、民間の医療保険を検討する際の一つの目安になります。

民間保険を検討する際の考え方

家計相談の現場でよく感じるのは、「保険に入るかどうか」を先に決めようとして悩んでいる方が多いということです。順番としては、まず①公的保障でどこまで賄えるかを把握し、②足りない部分(差額ベッド代・先進医療・収入減の期間の生活費など)を貯蓄でまかなえるか確認し、③貯蓄で不安が残る部分だけを民間保険で補う、という流れで考えると整理しやすくなります。

特に次のような方は、民間の医療保険で備える意味が比較的大きいと言えます。

  • 自営業・フリーランスで、傷病手当金に相当する保障がない方
  • 貯蓄がまだ少なく、差額ベッド代や生活費の急な支出に耐えにくい方
  • 個室での療養など、公的保障の対象外になる部分にこだわりたい方

逆に、貯蓄が十分にあり、働けない期間の生活費も当面まかなえる見通しがある方は、民間保険に頼らず貯蓄で備えるという選択肢も十分に成り立ちます。どちらが正しいという話ではなく、家計の状態に合わせて選ぶものだ、という前提で考えることが大切です。

保険料の具体的な金額は、年齢・性別・健康状態・保障内容によって大きく変わるため、この記事では金額の目安は示していません。気になる場合は、保険会社や比較サービスの見積もりで確認することをおすすめします。

注意点・向いていない人

  • 「医療保険に入れば安心」という考え方には注意が必要です。 保障内容によっては、差額ベッド代や収入減をカバーしきれない商品もあります。加入する場合は、何を保障してほしいのかを先に決めてから商品を比較する順序が安全です。
  • すでに十分な貯蓄があり、公的保障で足りない部分も自己資金でまかなえる方は、民間保険に加入する優先度は相対的に低くなります。
  • 解約のタイミングにも注意が必要です。 貯蓄性のある保険を早期に解約すると、払い込んだ保険料より受け取る金額が少なくなる(元本割れする)場合があります。

よくある質問

Q1. 会社員なら医療保険はいらないのですか?
会社員は傷病手当金があるため、自営業の方に比べて働けない期間の収入減リスクは抑えられています。ただし差額ベッド代や先進医療の技術料は会社員でも対象外のままなので、貯蓄の状況によっては検討の余地があります。

Q2. 自営業者は医療保険に入ったほうがいいのですか?
自営業者が加入する国民健康保険には、原則として傷病手当金に相当する制度がありません。働けなくなった際の生活費をどう確保するかは、会社員よりも重要な論点になります。ただし、これも貯蓄額や家族の状況次第であり、一律に「入るべき」とは言えません。

Q3. 高額療養費制度だけで入院費用は足りますか?
保険診療の範囲であれば、高額療養費制度により自己負担には上限が設けられます。ただし差額ベッド代や食事代の一部負担などは対象外のため、個室を希望する場合などは別途費用がかかります。

Q4. 2026年8月の制度改正で何が変わるのですか?
区分ウ(年収約370〜770万円)の場合、月額の自己負担上限が「80,100円+1%」から「85,800円+1%」に引き上げられ、あわせて年間上限(区分ウで53万円)が新設される予定です。区分ウ以外の上限額や2027年8月予定の第2段階改正の詳細は、厚生労働省の公表資料で確認することをおすすめします。

Q5. 保険の無料相談は利用してもいいのですか?
多くの無料相談サービスは、相談者が保険に加入した際に保険会社から支払われる手数料で運営が成り立っています。この仕組み自体は珍しいものではありませんが、複数社を比較したい場合には有用な一方、その場で特定の商品を勧められても即決しない、という心構えは持っておくと安心です。

ミナト先生のまとめ

医療保険が「いる」か「いらない」かは、公的保障の内容を知らないまま判断すると、どうしても不安ベースの結論になりがちです。まずは高額療養費制度や傷病手当金がどこまでカバーしてくれるのかを押さえたうえで、足りない部分を貯蓄でまかなえるかを確認する。そのうえで民間保険を検討するかどうかを考える、という順序を大切にしてください。

保険の必要性は世帯ごとに異なります。加入・見直しの判断は、必要に応じて専門家にご相談ください。

制度は改正される場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公式情報でご確認ください。


この記事を書いた人:ミナト先生/FP2級・元携帯キャリア営業(約1万契約)。通信費と家計の"損しない"見直しを発信しています。

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