本記事は2026年8月時点の情報にもとづいています。
投資信託は値動きのある商品で、購入時より価値が下がる(元本割れ)可能性があります。この記事で紹介する複利の考え方も、将来の運用成果を保証するものではありません。
この記事でわかること
- 複利とは何か、単利とどう違うのか
- NISAの非課税期間・非課税保有限度額が複利とどう関係するか(出典:金融庁)
- 複利を活かすときの注意点・元本割れリスク
- 複利が向いている人/向いていない人
- よくある質問
結論:複利とは「利益が利益を生む」しくみ
複利とは、運用で得た利益を元本に組み入れて、次の期間はその合計額に対して利益(または損失)が計算されるしくみのことです。反対に、元本部分にだけ利益が計算される方式を単利といいます。
複利は「長く続けるほど差が広がりやすい」という性質を持ちますが、これは運用がプラスに推移した場合の話です。投資信託などの値動きのある商品では、利益だけでなく損失も同じしくみで積み重なるため、複利だからといって資産が必ず増えるわけではありません。
単利と複利の違い(表で整理)
| 単利 | 複利 | |
|---|---|---|
| 利益の計算対象 | 当初の元本のみ | 元本+それまでの利益(または損失) |
| 時間が経つほど | 増え方は一定 | 増え方(減り方)が変化しやすい |
| 主な例 | 一部の預金・債券など | 投資信託の再投資、NISAのつみたて投資など |
※上記は複利のしくみを説明するための一般的な整理であり、特定の金融商品の利回りを示すものではありません。
NISAと複利の関係(出典:金融庁)
NISAは、運用益にかかる約20.315%の税金(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%、出典:国税庁)が非課税になる制度です。複利のしくみで利益が積み重なっていく過程で税金が引かれないため、同じ運用成果であれば課税口座より手元に残る金額の差が生まれやすくなります。ただし、これは税金の扱いの差であって、運用そのものの成果を保証するものではありません。
2026年8月時点のNISA制度の概要は以下のとおりです(出典:金融庁)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 年間120万円 |
| 成長投資枠 | 年間240万円 |
| 年間投資枠の合計 | 360万円 |
| 非課税保有限度額(生涯) | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 対象年齢 | 18歳以上 |
つみたて投資枠と成長投資枠の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
つみたて投資枠と成長投資枠の違いをFPが解説
複利のしくみをもう少し詳しく
複利を考えるときによく使われる考え方に「元本に(1+運用利回り)を、期間の数だけ繰り返しかけ合わせる」というものがあります。ここで大切なのは、運用利回りは将来の実績を保証する数値ではないという点です。過去に一定の利回りで運用できた期間があったとしても、それが今後も続く保証はありません。
そのため本記事では、特定の利回りを仮定した「◯年後にいくらになる」といったシミュレーションはあえて示していません。「複利は、利益(または損失)が次の計算のベースに組み込まれていく」という考え方だけを押さえておけば十分です。
複利を活かすときの注意点・デメリット
- 元本割れの可能性:投資信託などの値動きのある商品は、購入時より価値が下がることがあります。複利のしくみは損失にも同じように働くため、マイナスが続くと差が広がる方向に働くこともあります。
- 短期間では効果を感じにくい:複利は長期間続けることで差が生まれやすくなる考え方のため、数か月〜数年の短期では単利との差をほとんど感じられないことがあります。
- 途中で引き出すと効果が途切れる:利益を再投資せずに引き出してしまうと、複利のしくみは働きません。
- 手数料の影響:信託報酬などのコストは運用期間中ずっとかかり続けるため、利益が積み重なるのと同じように、コストの差も長期では無視できません。
複利の考え方が向いている人・向いていない人
向いている人
- 長期で資産形成に取り組みたい人
- NISAのつみたて投資枠などを使って、コツコツ積み立てたい人
- 元本割れの可能性を理解したうえで、値動きのある商品と付き合っていきたい人
向いていない人
- 数か月〜数年以内に必要になる資金を運用に回そうとしている人
- 元本割れを一切許容できない人(このような資金は預貯金など元本が保証される方法で管理することが向いています)
複利を意識した始め方の手順
- NISA口座を開設する(つみたて投資枠・成長投資枠のどちらを使うか、または両方使うかを決める)
- 毎月の積立額など、無理のない範囲で継続できる金額を決める
- 分配金や運用益を再投資する設定にする(複利のしくみを活かすポイントです)
- 定期的に(半年〜1年に一度など)状況を確認する
NISAの始め方の詳しい手順は以下の記事で解説しています。
NISAの始め方をFPが解説
投資信託そのもののしくみについては以下の記事もご参照ください。
投資信託とは?仕組みと注意点をFPが解説
よくある質問
Q1. 複利は預金にもありますか?
A. 一部の預金商品には複利型があります。ただし本記事では主に投資信託・NISAの文脈での複利を説明しています。預金の金利タイプは金融機関の公式サイトでご確認ください。
Q2. 複利だと必ず単利より増えますか?
A. いいえ。運用がプラスで推移した場合は複利のほうが増え方が大きくなりやすい傾向がありますが、マイナスが続く局面では複利のしくみが損失にも働くため、必ず増えるとは限りません。
Q3. 複利の効果を得るには何年くらい必要ですか?
A. 決まった年数はありません。一般的に「長く続けるほど差が生まれやすい」と説明されますが、これは運用成果がプラスで推移した場合の話であり、将来の年数や金額を保証するものではありません。
Q4. NISA以外でも複利は使えますか?
A. はい。課税口座でも分配金や運用益を再投資すれば複利のしくみは働きます。ただしNISA口座内の運用益は非課税(出典:金融庁)のため、税金の扱いという点でNISAを活用するメリットがあります。
ミナト先生のまとめ
複利は「利益が利益を生む」というシンプルな考え方ですが、これは運用がプラスに推移した場合の話であり、投資信託などの値動きのある商品では元本割れの可能性が常にあります。「複利だから安心」「複利だから増える」ということではなく、しくみを理解したうえで、無理のない金額・長く続けられる方法で付き合っていくことが大切です。個別の状況によって向き不向きは変わりますので、必要に応じて専門家にご相談ください。
この記事を書いた人:ミナト先生/FP2級・元携帯キャリア営業(約1万契約)。通信費と家計の"損しない"見直しを発信しています。
投資判断はご自身の責任で行ってください。個別の状況に応じたご相談は、必要に応じて専門家にご確認ください。
制度は改正される場合があります。最新の内容は金融庁・国税庁などの公式情報でご確認ください。


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