「iDeCo(個人型確定拠出年金)が老後資金づくりに向いている」と聞いて調べ始めたものの、「デメリットもあるらしい」という話が気になって手が止まっている方は多いのではないでしょうか。この記事では、iDeCoの主なデメリットと、その裏側にある仕組みを、FPのミナト先生がわかりやすく解説します。
結論:iDeCoのデメリットは「引き出せない」「手数料」「元本割れの可能性」の3つ
iDeCoのデメリットは、大きく次の3つに整理できます。
- 原則60歳になるまで、積み立てたお金を引き出せない
- 加入時・運用中に手数料がかかる
- 選ぶ運用商品によっては、元本割れの可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
そもそもiDeCoとは
iDeCoは、自分で掛金を出し、自分で選んだ商品で運用しながら、老後資金を準備する私的年金制度です。掛金が全額所得控除の対象になる点が大きな特徴ですが、その分「途中でやめられない」「引き出せない」という制約とセットになっています。iDeCoの基本的な仕組みや加入条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ iDeCoとは?仕組みとメリットをFPが解説【2026年7月】
iDeCoの拠出限度額(2026年7月時点)
| 区分 | 拠出限度額(月額) |
|---|---|
| 第1号被保険者(自営業者など) | 68,000円(国民年金基金・付加保険料と合算) |
| 第2号被保険者(会社員・企業年金なし) | 23,000円 |
| 第2号被保険者(企業型DC・DBに加入) | 20,000円(55,000円 −(企業型DC事業主掛金+DB掛金相当額)で計算、上限20,000円) |
| 第3号被保険者(専業主婦・主夫) | 23,000円 |
※出典:厚生労働省・国民年金基金連合会
なお、拠出限度額の引き上げ(第1号は75,000円、第2号は企業年金との合算で62,000円)が予定されており、2026年12月拠出分(2027年1月引落分)からの適用が見込まれています。加入可能年齢の上限を70歳未満へ引き上げる改正も予定されています。制度は改正される場合があるため、最新の内容は厚生労働省・国民年金基金連合会の公式情報でご確認ください。
iDeCoの主なデメリット
① 原則60歳になるまで引き出せない
iDeCoで積み立てたお金は、原則として60歳になるまで引き出すことができません。「急にまとまったお金が必要になった」という場合でも、iDeCoの資産を取り崩すことは基本的にできない仕組みです。教育費や住宅資金など、60歳より前に使う可能性があるお金は、iDeCo以外の方法で準備しておく必要があります。
② 加入時・運用中に手数料がかかる
iDeCoは、加入時の手数料に加えて、口座管理の手数料が毎月かかります。手数料の金額は金融機関によって異なるため、この記事では具体的な金額を挙げません。加入を検討する際は、必ず各金融機関の公式サイトで最新の手数料をご確認ください。掛金の額が小さいと、手数料が運用益を上回ってしまう可能性がある点にも注意が必要です。
③ 選ぶ運用商品によっては元本割れの可能性がある
iDeCoの運用商品には、値動きのある投資信託と、元本が確保されるタイプの商品(定期預金など)があります。投資信託を選んで運用する場合、購入時より基準価額が下がり、受け取る金額が拠出した掛金の合計を下回る(元本割れする)可能性があります。「iDeCoに入れば増える」という話ではなく、どの商品を選ぶかによって結果が変わる制度だという点を押さえておく必要があります。
④ 元本確保型を選んでも、物価上昇に対しては弱い場合がある
「元本割れが怖いから」と元本確保型の商品だけを選ぶ方もいますが、その場合は増える金額がわずかにとどまることが一般的です。将来、物価が上昇した場合、お金の額面は減らなくても、実質的に買える量が目減りする可能性がある点は、あわせて理解しておきたいところです。
⑤ 掛金の変更・停止に手続きが必要
掛金額を変更したり、拠出を一時的に停止したりする場合は、所定の手続きが必要です。給与天引き(事業主払込)にしている場合は、勤務先を経由した手続きになることもあり、証券口座の設定変更のように即座には反映されません。
iDeCoが向いている人・向いていない人
向いている人
- 老後資金として、当分の間引き出す予定のないお金を準備したい人
- 掛金の所得控除による税負担の軽減を活用したい人
- 60歳まで引き出せないという制約を、むしろ「使いすぎ防止」と捉えられる人
向いていない人
- 数年以内に使う可能性がある資金を準備したい人(教育費・住宅資金など)
- 手数料を負担してでも積み立てるほどの掛金額を継続するのが難しい人
- 運用商品の値動きに強い抵抗感がある人(元本確保型のみを選ぶ選択肢もありますが、増える金額は限定的です)
なお、いつでも引き出せる資金を非課税で運用したい場合は、NISAという選択肢もあります。iDeCoとNISAの違いについては、まずNISA自体のデメリットを押さえておくと理解しやすくなります。
iDeCoの始め方の手順
- iDeCoを取り扱う金融機関を選ぶ(銀行・証券会社など)
- 加入資格・掛金額を確認し、申込書類を取り寄せる
- 必要書類(本人確認書類、会社員の場合は事業主の証明書類など)を提出する
- 口座開設後、運用する商品を選ぶ
金融機関によって、取り扱う運用商品のラインナップや手数料が異なります。口座開設先を選ぶ際は、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。
よくある質問
Q. iDeCoは途中で解約できますか?
A. 原則として60歳になるまで引き出しはできず、任意のタイミングでの解約もできません。掛金の拠出を停止する(運用指図者になる)ことは可能ですが、資産の引き出しとは別の手続きです。
Q. iDeCoとNISA、どちらから始めるべきですか?
A. どちらが向いているかは、資金をいつ使う予定かによって変わります。老後まで引き出す予定のない資金であればiDeCo、当面の資金にも使う可能性がある場合はNISAが選択肢になります。個別の状況によって適した選び方は異なるため、必要に応じて専門家にご相談ください。
Q. iDeCoの手数料はどこで確認できますか?
A. 加入時手数料・口座管理手数料は金融機関によって異なります。各金融機関の公式サイトで最新の金額をご確認ください。
Q. 会社員でもiDeCoに加入できますか?
A. 加入できます。ただし、勤務先の企業年金の有無によって拠出限度額が異なります。詳しい区分は本記事内の表をご確認ください。
ミナト先生のまとめ
iDeCoは、掛金の所得控除という税制上のメリットがある一方で、「原則60歳まで引き出せない」「手数料がかかる」「運用商品によっては元本割れの可能性がある」というデメリットも持ち合わせている制度です。家計相談の場でも、「iDeCoは知っていたけれど、引き出せないことまでは知らなかった」という声を聞くことがあります。始める前に、メリットとデメリットの両方を確認したうえで、無理のない掛金額から検討することをおすすめします。
この記事を書いた人:ミナト先生/FP2級・元携帯キャリア営業(約1万契約)。通信費と家計の"損しない"見直しを発信しています。
投資判断はご自身の責任で行ってください。個別の状況に応じたご相談は、必要に応じて専門家にご確認ください。


コメント