結論:オール電化は「合う人」と「合わない人」がはっきり分かれる仕組みです
オール電化は、給湯をガスではなくエコキュートなどの電気給湯機でまかない、調理もIHクッキングヒーターにするなど、家庭のエネルギー源を電気に一本化する住まい方です。光熱費の窓口を1つにできる、火を使わないため安全性が高い、といったメリットがある一方、2010年代の「深夜電力が圧倒的に安い」という前提は変わりつつあり、単純に「乗り換えれば必ず安くなる」とは言えない状況になっています。停電時にお湯も調理も使えなくなる点や、初期費用の回収に時間がかかる点もあわせて理解したうえで検討する必要があります。
オール電化の料金の仕組みをまず整理する
電気料金は、基本料金(または契約アンペアに応じたアンペア料金)+従量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金という4つの要素で構成されています。オール電化の住宅は給湯や調理も含めてすべて電気でまかなうため、他の家庭より使用量(kWh)が大きくなりやすく、この4要素すべての影響を受けやすいという特徴があります。
再エネ賦課金は毎年度単価が見直され、経済産業省が2026年3月19日に公表した2026年度単価は4.18円/kWh(2026年5月検針分〜2027年4月検針分に適用)です。前年度(2025年度)は3.98円/kWh、前々年度(2024年度)は3.49円/kWhと推移しており、使用量が多い世帯ほど負担額も増える仕組みになっています(月300kWh使用の場合、4.18円×300kWh=月1,254円が賦課金分の目安)。
かつてのオール電化は、深夜時間帯の電力単価が日中よりも大幅に安いプランを前提に「エコキュートで夜間にお湯を沸かす」ことで光熱費を抑える設計でした。ただし近年は、電力会社によって深夜割引の幅を縮小したり、新規受付を見直したりする動きも出てきています。契約中・検討中のプランで実際にどれくらいの価格差があるかは、電力会社の公式サイトや見積もりで確認することをおすすめします。
(参考:電気代が高い原因と見直し方【2026年8月】、再エネ賦課金とは?仕組みをわかりやすく解説【2026年8月】)
メリット・デメリット比較表
| 項目 | オール電化 | ガス併用(従来型) |
|---|---|---|
| 光熱費の窓口 | 電気のみで一本化しやすい | 電気とガスの2契約になる |
| 調理・給湯時の火気 | IH・エコキュートで火を使わない | ガスコンロ・ガス給湯器で火を使う |
| 停電時 | 調理・給湯とも使用できなくなる | ガスが生きていれば調理は継続できる場合がある |
| 災害復旧の順序 | 一般的に電気の復旧が先行するケースが多いとされる | ガスの復旧には安全確認の工程がありやや時間がかかる傾向 |
| 深夜電力プランの単価 | 電力会社・プランにより幅があり、以前より割引幅が縮小しているケースがある | 対象外(時間帯別プランは電力側の契約次第) |
| 初期費用 | エコキュート・IH等の設備導入費用がかかる | 既存のガス設備をそのまま使える場合が多い |
※復旧の順序や所要日数は災害の規模・地域によって変わるため、あくまで一般的な傾向です。
オール電化を検討する際の確認ステップ
- 現在の電気代・ガス代の内訳(基本料金・従量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金を含む合計額)を確認する。
- 検討している電力会社の深夜電力プランの単価と、日中との価格差を公式サイトまたは見積もりで確認する。
- エコキュート・IHクッキングヒーターなど、必要な設備の導入費用を複数社から見積もりで確認する。
- 太陽光発電・蓄電池と組み合わせる場合は、日照条件・電力使用量・設置費用によって初期費用の回収年数が変わる点を踏まえて試算する。
- 政府による電気・ガス料金の負担軽減策は実施される時期があります。最新の実施状況は経済産業省・資源エネルギー庁の公式サイトでご確認ください。
注意点・向いていない人
- 深夜に電力を多く使う生活パターンでない方は、深夜電力プランのメリットを十分に活かせない場合があります。
- 停電時にIH・エコキュートが使えなくなるため、カセットコンロや飲料水の備蓄など、電気に依存しない備えを別途用意しておく必要があります。
- 数年以内に転居する可能性がある方は、エコキュート・IHなどの初期費用を回収しきれない可能性があります。
- 深夜電力単価の割引幅は電力会社・プランによって異なり、契約後に条件が変わる場合もあるため、契約前の単価だけで長期的な損得を断定しない方がよいでしょう。
よくある質問
Q1. オール電化にすれば電気代は必ず安くなりますか?
A. 断定はできません。世帯の使用量・時間帯・契約プランによって結果は変わります。深夜電力の単価や割引幅を必ず事前に確認してください。
Q2. 停電した場合はどうなりますか?
A. IHクッキングヒーターもエコキュートも電気がないと動かないため、調理・給湯の両方が使えなくなります。カセットコンロなど、電気に依存しない代替手段を用意しておくと安心です。
Q3. 太陽光発電・蓄電池と組み合わせるとどうなりますか?
A. 電力を自家消費できる割合が増えるため選択肢として検討されることがありますが、初期費用の回収年数は日照条件・電力使用量・設置費用により変わるため、個別の見積もりで確認する必要があります。
Q4. 2026年時点で、これからオール電化にする価値はありますか?
A. 深夜電力単価が以前より上昇傾向にある電力会社・プランもあり、2010年代ほど一律に有利とは言えなくなっています。ご自身の使用量や契約中の電力会社の料金体系を確認したうえで判断する必要があります。
Q5. 政府の電気・ガス料金の補助は今も受けられますか?
A. 支援策は実施される時期があります。対象期間や単価は変わるため、最新の実施状況は資源エネルギー庁の公式サイトでご確認ください。
ミナト先生のまとめ
家計のご相談を伺っていると、「オール電化なら深夜に使えば安い」という以前の前提のまま契約を続けている方に出会うことがあります。単価の環境が変わってきている今は、その前提そのものを一度見直してみることが、光熱費を見直す第一歩になります。オール電化はメリットもデメリットもある選択肢のひとつとして、ご自身の生活パターンや契約中のプランの単価を確認しながら、無理のない判断をしていただければと思います。
なお、電気・ガス料金は燃料費調整額や市場価格、政府の支援策により変動します。本記事の金額・単価は2026年9月時点の情報です。最新の単価・支援策は各社および経済産業省の公式情報でご確認ください。
この記事を書いた人:ミナト先生/FP2級・元携帯キャリア営業(約1万契約)。通信費と家計の"損しない"見直しを発信しています。


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