この記事でわかること
- 新電力が撤退・倒産しても、契約者の電気がすぐに止まるわけではないこと
- 撤退が決まってから電気の供給が切り替わるまでの流れ
- 契約者が実際に取るべき対応の手順
- 切り替え先を選ぶときに注意したいポイント
結論:撤退してもいきなり電気が止まることはありません
結論からお伝えします。契約している新電力が事業から撤退したり倒産したりしても、その日のうちに電気の供給が止まるわけではありません。電気の小売事業からの撤退には手続き上のルールがあり、契約者への通知や、他の事業者が電気の供給を引き継ぐ仕組みが用意されています。
ただし、何もしなくてよいわけではありません。放置すると、想定より割高な料金で電気を使い続けることになる可能性があるため、早めに動くことが向いています。電気代が高いと感じる原因については電気代が高い原因と見直し方でも解説していますので、あわせてご覧ください。
新電力が撤退・倒産する仕組みと背景
「新電力」とは、2016年の電力小売全面自由化以降に参入した、地域の電力会社(一般送配電事業者)以外の小売電気事業者のことを指します。電力そのものは、どの事業者と契約していても同じ送配電網を通って届くため、契約する会社が変わっても電気の質が変わるわけではありません。
一方で、新電力の中には、電力を仕入れる卸電力市場の価格変動や、燃料価格の上昇の影響を受けやすい事業者もあります。仕入れ値が販売価格を上回る状態が続くと事業の継続が難しくなり、事業撤退や倒産に至るケースがあります。実際に2021年度以降、複数の新電力が新規契約の受付を停止したり、事業から撤退したりする動きが見られました。
電気料金の内訳を確認しておきましょう
撤退・倒産の仕組みを理解する前に、電気料金がどのように構成されているかを押さえておくと、どの部分が変動しやすいかがわかりやすくなります。以下は2026年8月時点の情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本料金(アンペア料金) | 契約容量などに応じて毎月固定でかかる金額 |
| 従量料金 | 使用した電力量(kWh)に応じてかかる金額。使うほど増える |
| 燃料費調整額 | 火力発電の燃料(原油・LNG・石炭など)の価格変動を電気料金に反映する項目。市場価格によりプラスにもマイナスにもなる |
| 再エネ賦課金 | 再生可能エネルギーの普及を支えるための費用。2026年度単価は4.18円/kWh(経済産業省が2026年3月19日に公表、2026年5月検針分〜2027年4月検針分に適用)。使用量300kWhの場合、月あたり1,254円の負担目安 |
総務省「家計調査」(2025年)によると、1世帯あたりの電気代の月平均は総世帯で10,962円、4人世帯で13,928円となっています。世帯によって使用量や契約プランは異なるため、あくまで目安としてご覧ください。再エネ賦課金の詳しい仕組みは再エネ賦課金とは?仕組みをわかりやすく解説でも紹介しています。
撤退が決まってから電気が切り替わるまでの流れ
契約している新電力が事業を停止する場合、一般的には次のような流れで進みます。
- 事前通知:契約している電力会社から、供給契約を解除する旨と解除日の通知が届きます。突然の停止ではなく、一定の予告期間を設けることが求められています。
- 経過措置プランへの引き継ぎ:通知された期日までに契約者が新しい電力会社を決めなかった場合、地域の送配電を担う一般送配電事業者(大手電力会社の送配電部門)が用意する経過措置プランへ、自動的に引き継がれる仕組みがあります。これは電力自由化前の標準的な料金メニューに近い内容です。
- 最終保障供給:経過措置プランとは別に、無契約となった需要家がすぐに電気を使えなくなることを防ぐセーフティーネットとして、最終保障供給という制度も用意されています。最終保障供給の料金は、標準的なメニューより割高に設定されているため、長期間の利用には向いていません。
いずれの仕組みも、電気がその日のうちに使えなくなることを防ぐための制度です。ただし、経過措置プランや最終保障供給は、もともと契約していたプランより料金が高くなる傾向があるため、切り替え先を早めに探すことが向いています。
契約者が取るべき具体的な対応手順
- 撤退・解除の通知が届いたら、解除予定日を確認する
- 現在の電気料金の内訳(基本料金・従量料金・使用量)を検針票やマイページで確認する
- 複数の電力会社のプランを比較し、自分の使用量に合ったプランを選ぶ
- 解除予定日に間に合うタイミングで、新しい電力会社に申し込む
- 切り替え手続きが完了するまでの間は、経過措置プランで一時的に電気が供給される
家計のご相談を受ける中で、「通知が来てから何をすればいいかわからず、結局手続きが遅れてしまった」という声を聞くことがあります。通知が届いたら、まず解除予定日をカレンダーに控えておくと、対応漏れを防ぎやすくなります。
注意点・こんな方は特に注意が必要です
新電力への切り替えや契約継続を検討する際は、メリットだけでなく次のような点にも注意が向いています。
- 市場連動型プランのリスク:卸電力市場の価格に連動して料金が決まるプランは、市場価格が急騰した際に、想定より大幅に高い請求となる可能性があります。契約前に料金の決まり方を確認しておくことが向いています。
- 解約金の有無:新しい電力会社に切り替える際、現在の契約に解約金が発生しないか確認しておきましょう。事業者やプランによって条件が異なります。
- セット割の適用条件:都市ガスやスマホとのセット割を利用している場合、電力会社を切り替えるとセット割の対象から外れることがあります。セット全体での損得を確認してから判断することが向いています。
- 「乗り換えれば必ず安くなる」とは限らない:使用量や契約アンペア、地域によって最適なプランは異なります。切り替え前に、現在の料金との比較をおすすめします。
電力会社の乗り換え自体のメリット・デメリットは電気の乗り換えデメリットと注意点で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 新電力が倒産すると、電気はすぐに止まりますか?
A. すぐに止まることはありません。事前通知の後、経過措置プランや最終保障供給といった仕組みにより、電気の供給自体は継続されます。ただし、料金が割高になる可能性があるため、早めに新しい契約先を検討することが向いています。
Q. 経過措置プランのまま使い続けても問題ありませんか?
A. すぐに使えなくなるわけではありませんが、経過措置プランや最終保障供給は、一般的な新電力プランより料金が高めに設定されている場合があります。長期間そのまま使い続けるより、早めに他社のプランと比較検討することが向いています。
Q. 新電力を選ぶときに倒産リスクを見分ける方法はありますか?
A. 確実に見分ける方法はありませんが、料金プランが市場価格に連動するタイプかどうか、事業開始からの実績年数、公式サイトでの情報発信の頻度などを確認しておくと、判断材料の一つになります。最終的には、複数の情報を確認したうえでご自身の判断に委ねられます。
Q. 都市ガスとセットで契約している場合はどうなりますか?
A. 電力会社が撤退した場合でも、都市ガスの供給自体が同時に止まるわけではありません。ただし、セット割を適用していた場合は、電力契約の変更にともなってセット割の条件が変わることがあるため、契約している事業者に確認しておくと安心です。
ミナト先生のまとめ
新電力の撤退や倒産のニュースを見ると、「今の契約は大丈夫だろうか」と不安になる方は少なくありません。ですが、制度としては、契約者の電気がいきなり止まらないように、事前通知や経過措置プランといった仕組みが用意されています。
大切なのは、通知が届いたときに慌てず、解除予定日までに次の契約先を決めておくことです。日頃から自分の電気料金の内訳を把握しておくと、いざというときの比較・判断がスムーズになります。
最新の単価・支援策は各社および経済産業省の公式情報でご確認ください。
この記事を書いた人:ミナト先生/FP2級・元携帯キャリア営業(約1万契約)。通信費と家計の”損しない”見直しを発信しています。


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